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印刷アクリルのレーザーカット用データ — カット線が切れずに彫刻されてしまう理由

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印刷を終えたアクリルシートをレーザーに置き、カットデータを送ったのに、レーザーが輪郭を切り抜かず、浅く彫るだけ。線をいくつか飛ばす、四隅のトンボを焼き付ける、印刷から数mmずれた位置を切る——こうした場合、たいてい機械は正常です。データが、レーザーのソフトウェアが想定する書き方になっていないだけです。

この記事では、レーザーのソフトウェアがカットデータを読み取る仕組み、印刷してからカットするアクリルでよく起きる6つの失敗、そしてPressria Bridgeがレーザー用のカットPDFを別に書き出す方法をまとめます。レーザー・ルーター・ナイフのどれで切るかはUV印刷アクリルはレーザーでカットできますか?で扱っています。

レーザーのソフトウェアがデータを読む2つの方式

プリンタードライバー方式のレーザーは、EpilogとUniversal Laser Systems(ULS)が代表例です。Illustrator、Acrobat、CorelDRAWからプリンターに印刷するようにレーザーのドライバーへ送ると、ドライバーがオブジェクトごとに独自のルールで判定します。

  • 線幅でベクターかラスターかを分けます。ごく細い線(一般に0.001インチ=0.0254mm以下)だけがベクターパスになり、それより太い線と塗りのある図形はラスター彫刻の対象になります。
  • 色で設定を選びます。正確なRGB値ごとに工程と出力・速度が対応します。ULSのマテリアルデータベースモードでは赤=カット、青=マーキングが慣例で、マニュアルモードやEpilogのカラーマッピングでは色ごとに設定を自分で割り当てます。ベクターパスを切り抜くか表面をマーキングするかは、線の属性ではなくドライバーの設定で決まります。
  • 色は完全に一致する必要があります。254,0,0や237,28,36で届いた赤は、ドライバーにとって別の色です。

色・レイヤー指定方式のソフトウェアは、Trotec Ruby、LightBurnなどです。データを読み込んだあと色やレイヤーごとに動作を割り当て、カットするかどうかを線幅では決めません。Trotecの資料でも、レーザーは線の中心をたどって切るため、細いヘアラインも太い線も同じ精度でカットすると説明しています。

送るもの ドライバーの処理 赤 255,0,0 ・ 0.01mm ヘアライン ベクター → カット/マーキング 赤 255,0,0 ・ 0.25pt の線 ラスター → 彫刻される 黒塗りのトンボ ラスター → 彫刻される 赤 237,28,36 ・ 0.01mm 割り当てた色ではない
プリンタードライバー方式のレーザーはオブジェクトごとに判定します。ごく細い線だけがベクターパスになり、RGB値が完全に一致して初めてその色に割り当てた設定が使われます。太い線と塗りのある図形はラスター彫刻として処理されます。

以下の失敗の多くは1つ目の方式で起こります。プリンタードライバー方式は、誰かがプレビューを確認する前に、データだけを見て判定を終えてしまうからです。

よくある6つの失敗とその原因

1. カット線が切れずに彫刻される

原因:線がドライバーの基準より太いことです。RIPで動かすカッター向けのカット線は通常幅のある線で、CalderaはCutContourの線幅として0.1〜0.25pt(約0.035〜0.088mm)を案内しています。最も細い0.1ptでも0.001インチ基準より太いため、ドライバーはこうした線を彫刻対象と見なします。

対策:カット線を0.001インチより細いヘアラインにし、線をパスの中央に揃えます。Epilog・Caldera・Summaはいずれも中央揃えを求めているので、Illustratorでカット線を編集する場合は内側・外側揃えに変えないでください。RIP向けに作ったデータをドライバー方式のレーザーにそのまま送りにくい理由は、線幅だけではありません。RIPは特色名でカット線を探し、ドライバーは正確なRGB値で探します(CutContourの特色標準を参照)。

2. 一部の線が飛ばされる、または違う設定で加工される

原因:RGB値が割り当てた色と一致していません。よくある経路は2つです。ドキュメントがCMYKで「赤」がM100 Y100のまま出力時に変換される場合と、カラーマネジメントが有効な印刷経路でプロファイル付きの色が変換される場合です。解像度も原因になり得ます。Epilogは、出力解像度が低いとごく細い線がドライバーにまったく認識されないことがあると案内しています。

対策:カット線を正確なRGB値で作り、ドライバーへ送る経路のカラーマネジメントをオフにします。値はデザインデータだけでなく、レーザーのソフトウェア上でも確認します。それでも細い線が抜ける場合は出力解像度を上げます。EpilogのIllustrator向けガイドは、ドキュメントのラスタライズ効果設定を600ppiにし、高解像度の印刷プリセットを使うことを勧めています。

3. トンボがシートに焼き付く

原因:印刷データの黒塗りトンボが、そのままカットデータに入っています。プリンタードライバー方式のレーザーにとって塗りのある図形はラスター画像なので、四隅に黒い点を4つ彫刻します。

対策:カメラのないレーザーなら、レーザー用データからトンボを完全に外します。カメラがある場合はメーカーごとに仕様が異なります。Epilogのレジストレーションカメラは印刷物に直径6.35mmの黒塗りの円を使い、レーザー用データではそのマークにカット線と別の色の輪郭線を付け、カラーマッピングでレジストレーションマークとして指定します。Trotec JobControl Visionは直径6mmの円に黒のヘアライン輪郭と黒塗りを使い、マークを別レイヤーに置きます。いずれの場合も、レーザーのソフトウェアでレジストレーションマークとして指定して初めてマークとして機能します。

4. カット線が印刷から数mmずれる

原因(よくあるものの一つ):ドライバーへ送るときに「ページに合わせる」などの倍率オプションが有効になっていて、カット線全体がページ中央に向かってわずかに縮んでいます。

対策:実際のサイズ(100%)で送り、ページサイズがレーザーのジョブサイズと同じか確認します。

5. パーツが外れたあとで穴を切る

原因:キーホルダーの穴のような内側の線より先に、外側の輪郭を切っています。輪郭が切れると小さなパーツはハニカムの上で落ちたり動いたりし、穴がずれた位置に開きます。

対策:内側の線を、それを囲む輪郭より先に切ります。レーザーのソフトウェアのカット順序オプションを使うか、データの順に切るソフトウェアなら、その順でデータに書き込みます。

6. 同じ線を2回切る

原因:同じ輪郭がデータに2回入っています。たとえば元データのCutContourレイヤーと「カット線」レイヤーに同じパスが両方ある場合です。レーザーは入っている分だけすべて切るので、切断幅が広がり、時間も増えます。

対策:輪郭ごとに1本だけ残します。

Pressria Bridgeがレーザー用カットPDFを書き出す方法

アクリルのレーザーカットでは、PBは出力を2つに分けます。_print.pdf(PDF/X-4)にはUVプリンターに送るカラーのアートワーク(設定時は白引きも)とトンボが入り、カット線は入りません。_cut.pdfにはレーザーが見るべきものだけが入ります。Illustratorが接続されていれば、両方とも.aiとしても保存されます。現在のバージョンのカットPDFは次のように書き出されます。

  • カット線:線のみで塗りはなく、実線です。既定の線幅は0.01mmのヘアラインです。線幅を数値で指定することもでき、0.0254mmを超えると警告します。元データの線幅を維持する設定では、基準を超える線があれば警告し、線幅0の線は0.01mmのヘアラインに置き換えます。
  • カット線の色:既定は赤255,0,0で、青・緑・任意の値を選べます。値はプロファイルなしのデバイスRGBで書き込まれるため、データを開いたときにプロファイル変換は起きません。
  • トンボ:既定では入れません。カメラで位置合わせする場合は、任意の色の輪郭線として、またはTrotec方式のように黒塗り+黒の輪郭として入れられます。位置と大きさは印刷されたトンボと完全に同じです。トンボの色をカット線と同じ色にすることはできません。
  • カット順序:パーツごとに、内側の線を外側の輪郭より先に書き込みます。
  • 重複:複数のレイヤー名をカット線として登録していて同じ輪郭が入っている場合は、1本だけ残します。
  • 印刷倍率:ビューアーの印刷ダイアログが実際のサイズで開くよう、PDFに指定します。

Illustratorについて補足すると、_cut.pdfをIllustratorで開くとPDFのレイヤーが「Layer 1」ひとつにまとめられます。そのためそこでトンボのレイヤーだけを非表示にすることはできず、トンボを入れるかどうかはPBがデータを書き出す時点で決めます。

PBが担う範囲。PBはカットデータを上記の仕様で書き出します。レーザーを動かすことはなく、どの色でカットし、どの色でマーキングするか、出力や速度をどうするかも決めません。それはレーザーのソフトウェアで決めます。印刷経路のカラーマネジメントも、使う側で管理する必要があります。本番の前にテストシートを1枚カットし、カット線が割り当てた色のままベクターとして届いているか、レーザーのソフトウェアで確認してください。

カット前のチェック

  1. カット線が、レーザーのソフトウェア上でラスターではなくベクターとして表示される。
  2. カット線の色が、カットに割り当てた値と完全に一致している。
  3. ジョブにトンボがない。カメラを使う場合は、トンボがレジストレーションマークとして指定されている。
  4. 倍率が100%で、ページサイズがシートと同じ。
  5. 内側の線が、それを囲む輪郭より先に切られる。

メーカー公式の参考資料

推奨設定は、機械・ドライバー・ソフトウェアのバージョンや出力経路によって異なります。お使いの環境に該当するメーカーの資料をご確認ください。


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